コラム

リーダーの本質

リーダーとは「Leader」なのでどこかに導く(Lead)する人になります。

ただ、「導く(Leadする)」という言葉を額面どおりに受け取ってしまうと、「声が大きくなければいけない」とか「お手本になるぐらい優秀でなければいけない」といった思い込みが生じて「自分には無理だ」と躊躇してしまいがちです。

 

「リーダーとはひと言でいうと何か?」と問われるならば、私は「その気にさせる人」と答えます。

何に対して「その気にさせる」のかというと、ビジョンに対してです。ここでのビジョンは数値目標ではなく、どんな状態になりたいかという理想です。例えば、会社やチームの理想の状態です。

 

リーダーは、メンバーにビジョンを語って夢を与えなければなりません。だから、そのビジョンは皆が「いいね!」と思えるようなものである必要があります。最初は、自分が思う理想でも構いません。ただ、それを語ってメンバーから「あなたはどう思う?」と問いかけ、そのメンバーが思う理想を聞きながらメンバーと一緒にビジョンをつくりあげることが必要です。

 

その際、「会社の方針・戦略の点ではどうか?」「お客様への価値提供の点ではどうか?」「競合先との差別化という点ではどうか?」など、いろんな観点で考え、自分本位にならないビジョンを考えていくことが大事です。しかし、一番大事なことは、そのビジョンは「ワクワクすることか?」です。

つまり、「リーダーはビジョンでその気にさせる」のです。

 

メンバーと理想で合意がなされても、実際にそのビジョンに近づくための行動が必要です。なぜならば、人や組織は現状維持でいようとするからです。今の状態で与えられた役割をこなすことが安心・安全で、そこから出て違うことをすることに恐怖や不安を感じます。なので、日常の忙しさでビジョンを見失い、同じことを繰り返したがります。

 

例えるなら、シーソーです。シーソーの端にリーダーがいて、その反対側にメンバーがいるとします。最初はメンバーの方が多いので、シーソーはメンバー側に傾いています。

そこで、リーダーはビジョンで対話し続け、その気になる仲間を自分側に来てもらうのです。そうすれば、ある時、シーソーはリーダー側に傾き、残りのメンバーもリーダー側に来ます。

つまり、「リーダーは諦めずにビジョンで対話し続ける」のです。

 

「ビジョンでその気にさせ、対話し続ける」ことができるならば、前から牽引しようが、縁の下の力持ちで後ろから押し続けようが、皆と手を取り合って伴走しようが自由で、要は、その人らしさを発揮すれば良いのです。

サーバントリーダーという言葉もある通り、メンバーを支援するリーダーの形があっても良いのです。自ら見本を示して率先垂範したり、大きな声で牽引することだけがリーダーの条件でもないのです。

 

リーダーという言葉のハードルを上げてしまうと、心の底からやりたいと思えなくなるし、責任感の強さがかえってメンバーにプレッシャーを与えたり、できない自分を苦しめてしまうことになりかねません。

 

皆が実現したいと思えるビジョン(目的)でメンバーと対話し、メンバーをその気にさせて仲間にし、ビジョン実現のために働きかけていくことが重要で、それを自分らしく行うことができれば、それは立派なリーダーと言えます。

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